私たちが提供している珈琲についてお話しします。
まずは、そもそもどのような考えでこの喫茶葦島と葦島珈琲を創ったのかということをお伝えしたいのですが、それは、一言で言えば「中庸」という考えに基づいています。
「中庸」の本来の意味は、「過不足なく偏りのないこと」でありまして、それは決して、大小や上下の中間を取りさえすればよいという意味ではありません。
つまり、自身は常にバランスのとれた状態を保ちつつ、対象となる上下左右大小、いずれの考え方にも柔軟に対応できる在り方を言います。
「中庸」という言葉は「論語」に書かれているように、元々は儒教における重要概念ですが、私はこの中国から渡って来た言葉を、日本においては我が国固有の文化熟成の過程において醸成されてきたものとし、独自の解釈を加えて使用しております。ですので、私どもが「中庸」として語る内容は、根本概念は同一でありながら、いわゆる信仰対象としての儒教とは少々意味が異なります。
そのような考え方に基づいて、提供している私たちの珈琲とはどのようなものか。
それは、お客様の多様な好みに応えられるように、常にバランスよく商品を取り揃え、ご希望に叶う香味を提供すること。
苦味がお好きな方、酸味を好まれる方、あっさりとした味をお求めの方、どっしりとしたストロングを普段から愛飲されている方、などなど、様々な嗜好に応えられるように多種多様な珈琲豆を取り揃えておりますし、喫茶葦島(本店)ではドリップの方法を調整することでもご希望に添えるように致しております。
決して「足して二で割る」「真ん中」ではなくて、様々なご要望にも応えられるしなやかさを備えるように、常日頃考えながら努めていきたいと考えております。
どうぞ、遠慮なくご希望を仰って下さい。「酸味が苦手」と言われれば、酸味をほとんど感じられない珈琲を、「苦味が苦手」と言われれば、苦味をほとんど感じられない珈琲をお勧め致します。「アメリカンで」と言われれば、正式なアメリカンの淹れ方に近い方法で香味を表現します(喫茶葦島のみ)。
どのようなご希望にも真摯に応えられるよう日々精進して参ります。
そのような私たちの珈琲を、楽しんでいただければ幸いです。
店主拝