珈琲の抽出方法として当店が採用しているハンドドリップですが、自家焙煎であることと同じくらい重要視しています。
なぜなら、珈琲の香味を自在に調整できる最適な方法がハンドドリップだと考えているからです。
当店ではブレンド珈琲を始めとして、多数の珈琲を用意しておりますが、実は珈琲の種類によって淹れ方を変えています。
例えばブレンドを含めたベーシックなタイプのものと、マンデリンなどの苦味が強いタイプ、モカなどの浅煎りで酸味の強いタイプ、カフェ・オ・レなどのかなり深煎りタイプなどそれぞれの特色に合わせた淹れ方があります。
これは当店独自の方法ではありますが、珈琲抽出の基本を大切にしながら、検証を重ねて導き出した方法です。従って当店でバリスタを養成する研修に於いては、非常に重要かつ難易度の高いメソッドとして位置付けています。
一方、たとえ同じ珈琲豆であっても、お湯のおとし方、お湯の温度、抽出の時間などを変えることで香味を調整することも可能です。
実際、お客様からブレンドをアメリカンタイプで淹れて欲しいとご要望がある場合、アメリカンらしい香味になるように淹れ方を調整しております。
ただ、以上のように書きますと、なんだか難しく敷居の高い世界なのかと思われるかもしれませんが、そのようなことはありません。
基礎的な方法を押さえる事で十分美味しい珈琲は淹れられます。それは、時間を測るなど誰でも出来る事で足ります。
その基礎をベースにして、お湯のおとし方、温度の高低などを調整することで、珈琲豆ごとによりよく個性を引き出すことは可能です。
確かに淹れ方を珈琲豆によって変えるのは応用的ではありますが、それだけ珈琲の世界が広がり、嗜好の深さを感じられるのは素敵なことだと思います。
そして何より大切な事としてお伝えしたいのは、自らの手で珈琲を淹れられることの楽しさです。
私達の提供する珈琲を「手仕事珈琲」と名ずけているのも、自らの手で珈琲を淹れる楽しさを多くの人に広めたいという想いからです。
店主